【活動報告】WHOに協力の当科の医局長からのレポート

《WHOに協力》 新型コロナ感染症対策専門家として萩谷英大医師(総合内科・総合診療科)をパプアニューギニアへ派遣

2021年12月~2022年2月中旬まで,国際医療ボランティアAMDAを通じて,岡山大学病院総合内科・総合診療科の萩谷英大医師をパプアニューギニアへ派遣しています。
新型コロナ感染症対策専門家として,現地で活動中の萩谷医師からのレポートをお届けいたします。

皆さん,こんにちは。岡山大学病院の萩谷英大です。現在,WHO(WPRO:WHO西太平洋地域)がすすめる各国のコロナ対策支援に参加するためにパプアニューギニアに滞在しています。

私が所属する現地のInfection Prevention and Control(感染症の予防及び管理:以下IPC)部門は,1名のWHO正規スタッフ(オーストラリア人),1名のWHO長期コンサルタント(インド系マレーシア人),1名のWHO短期コンサルタント(チュニジア人)で構成されていました。12月末からこのチームに参加する形でパプアニューギニアに来たのですが,WHO正規スタッフはオーストラリアからリモートワーク(?)をしており,現地には滞在していません。長期コンサルタントと短期コンサルタントは,私がパプアニューギニアに到着した次の日に3時間ほど会って軽い申し送りをした後に,いずれも契約満期のためそれぞれの国に帰ってしまいました。帰国後もメールやウェブ会議ではサポートしてくれる形になっていますが,現地のIPC部門は私一人残されて,この先どうしていこうかと暗中模索の状態で年を越し,現在に至っています。嘆いてばかりいても物事は前に進みませんので,申し送りで教えてもらったNational Department of Health(日本でいうところの厚生労働省)の感染対策部門の責任者と相談を進め,まずは首都ポートモレスビーの主要医療機関の感染対策の現状を評価することを短期目標にしています。長期的には地方都市にも足を延ばして,そこでの感染対策状況の評価およびフィードバックをする予定にしています。また,1月末から1週間かけて行われる全国IPCトレーニングコース(?)のファシリテーターという大役を任されましたので,現在はその準備が中心の毎日です。

そもそもパプアニューギニアにおける新型コロナウイルスの流行状況はどうなっているのでしょうか。表向きはあまり多くの感染者が報告されている国ではありませんが,日本のような法制度に基づく報告システムがないため,十分な検査が行えていない,検査が行われていてもそれが報告として上がってきていない等,陽性者数が過小評価されていることは間違いありません。加えて,ワクチン接種率は全人口の12%以下とWHO西太平洋地域で最低接種率と言われています。ワクチンの在庫はたくさんありますが,宗教・信念・噂など,様々な要素・リテラシーの問題がワクチン接種率向上を妨げているようです。
今後もIPCの専門家として,現状評価と課題確認,改善点の提案など,現地の感染対策レベルが改善するよう積極的に働きかけていきたいと思います。

※WHOのコロナ対策支援=Global Outbreak Alert and Response Network/通称GOARNで知られている感染対策専門家派遣の枠組みによる海外派遣。GOARNからの海外派遣にはフォーカルポイント(所属機関)が必要で,今回はAMDAにフォーカルポイントとなっていただき,萩谷医師の派遣が実現しています。
萩谷医師は,国立国際医療研究センター国際感染症センター(東京都)が昨年度実施したGOARN研修を修了しています。

現地で活動する萩谷医師
 「トンガの海底火山噴火が心配されますが,こちらは特に影響なく,普段の日常と変わりなく過ごしています!」